国生み 3

ぬぼこの「ぬ」とは、多くは「瓊」と書きます。

「たま」という意味があるので、

古来玉飾りのついた矛というふうに解釈されてきました。

本来は、どういう意味があるのかといえば、

「たまじゃくし」のことです。

無形の「たまじゃくし」で、おのころ島の底に入れて、

掻き混ぜて掬(すく)い上げるのです。

無形の神界から掬い上げて、掬い上げたものを有形の顕界に拡げていく「たまじゃくし」です。 

ぬぼこは、神界とつながる「いと(意図)」を強くしたようなもの。

先が神界にとどいて、神界の結界を破るように突き刺さるようなかたちをしています。

そして、抉(えぐ)り取って、神界の事実を顕界に持って来る。

そう言うと、つい神界が下にあって、すくい上げるというイメージになってしまいがちですが、

実は無形の空間に突入するような形をしていて、

神界と顕界を繋ぐおのころ島から、

神界の中に入れて、事象を抜いてきて顕界に写しだす、そういう形をしています。

けれども、矛先だけでは用をなしません。

神界の底まで矛先が届く必要があるからです。

矛先につける棒が必要になります。

相当なしんぼう(辛抱=心棒)をした者だけが、手に入れることが出来るそうです。

神界の底まで届く棒と、

顕界と神界の結界を切り裂き、神界の事実をすくってくる矛先と、

結界の穴であるおのころ島が揃ってはじめて、

自在に形現しが出来るようです。